行動動態学研究室では、アルツハイマー病などのヒトの病気を模したモデルマーモセットで、脳の病気の進行が行動にどのように影響するのかを調べるための機器の開発と、それを用いた解析を行っています。マーモセットはその小さな身体と雌雄のつがいを基準とする小規模な群れを形成する特徴から、野生に近しい社会環境を実験室内で構築できるという利点や、寿命が適度に長く、げっ歯類では再現が難しい疾患を再現できる可能性があり、様々な遺伝子改変をはじめとした疾患モデルマーモセットが新しく作られています。一方で、新しく作られる疾患モデルマーモセットはどのように症状を発症し、どのように行動が変わっていくのかはまだわかっていません。私たちは、一般的な実験動物であるマウスと比較して一頭一頭に個体差があるマーモセットの行動変化を明らかにするため、一頭の動物を長期にわたって傷つけることなく継続的に追跡、解析できる技術の開発を行っています。
これまでに、ケージの中のマーモセットたちの、どの個体が、いつ、どこで、何をしていたのかを明らかにし、マーモセットの自然な活動をAI技術によって解析するFull Monitoring and Animal Identification(FulMAI:フルマイ)システムの開発や、起きているマーモセットの脳の活動をMRI装置で解析するため、手術することなく動物の頭部を固定できるホルダーの開発とそれを用いた解析などを報告しました。その他にも、非侵襲的に睡眠状態を解析するためのウェアラブルデバイス開発や、認知機能やモチベーションを評価するための新しい常設型のタッチパネル式課題試験の開発、音声コミュニケーションの解析技術の開発などの疾患モデルマーモセットを非侵襲的に解析するための新しい技術の開発を行い、病気の進行に伴う動物の行動変化を明らかにすることを目指しています。
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